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朝礼の「唱和」はダサくてイヤだ! 従業員が唱和を「拒否」するのは許されるか?
職場の朝礼で『唱和』を拒否したら、懲戒解雇されてしまった――。そんな男性が解雇の無効を訴えた裁判で、男性の主張を認める判決が7月26日、京都地裁で下された。
報道によると、解雇が無効とされたのは、学校法人平安女学院(京都市)の元職員の男性。2012年9月、男性は朝礼で「理事長の下に固く結束し」という部分の読み上げを拒否して解雇されていた。学校側は「業務に支障が生じた」としていたが、裁判官は「業務に大きな影響を与えたとも言えない」「懲戒解雇は重すぎる」と判断した。
「唱和」は職場の士気高揚などに、少なくない会社で実施されているようだ。たとえばパナソニックでは、創業者松下幸之助の「綱領・信条・7精神」を唱えるというし、ある大手ドラッグストアも、店舗で毎朝「いらっしゃいませ」といった「接客8大用語」を唱和するという。一方、このノリに付いていけないという人もいて、ネットの相談サイトには「(唱和に)ストレスを感じている」といった悩みが寄せられている。
はたして従業員は、自分の信条に合わない職場の「唱和」を拒否できるのだろうか。また、今回は懲戒解雇を無効とする判決が出たわけだが、もっと軽い処分なら甘受するしかないのだろうか。労働事件にくわしい大川一夫弁護士に聞いた。
●『唱和』そのものは違法とはならない
――「解雇」よりも軽い処分なら、甘受するしかない?
「『解雇』は行き過ぎですが、軽い処分ならば甘受しなければならないと思います」
――どういう理由なの?
「労働契約上、労働者は使用者に対して労働を提供する義務があります。その関係で、使用者の指揮命令に服さなければなりません。
もちろん、この指揮命令は、どんなことでも命じることができるというわけではなく、違法な命令はできませんし、労働者の思想・信条に反するような命令もできません。
しかし、会社の理念や方針を理解させ、協調して仕事をしてもらうために、社会通念上相当の範囲内なら、『唱和』そのものは違法とはならないでしょう」
――そういった例は他にもあった?
「公立学校の卒業式などでの国旗掲揚や国歌斉唱の際に、教職員に対して起立や斉唱を求める命令が、『思想・良心の自由』に反しないか争われたケースでしょう。最高裁は、結論として、そのような職務命令を出しても『思想・良心の自由』に反しないとしています。
この判例によれば、主観的に、自分の思想・信条に合わない『唱和』だったとしても、それが直ちに『思想・良心の自由』に反するとは認められないことになります。その処分は違反行為の内容と均衡を保ったものにならなければなりませんが・・・」
このように、職場で『唱和』を拒否したら、職務命令違反として処分されてもやむを得ないということだ。しかし、最近の若い人たちの感覚なら、「唱和なんてダサい」と思うかもしれない。大川弁護士も、「『唱和』を嫌う若い人たちが増えていると思われていますので、使用者は、従業員に気持ちよく働いてもらうためにも、このような習慣は止めたほうが良いと個人的には思います」と話している。
首都圏で相次ぐ強盗事件 反撃して犯人死なせても「正当防衛」認められる?
首都圏を中心に、住宅を狙った強盗事件が相次いで発生している。捜査機関は、「闇バイト」を実行役として各地で発生している強盗事件との関連も調べているようだ。
10月16日には、横浜市青葉区で高齢の住人男性が殺害される強盗殺人事件が起きた。
翌17日には千葉県市川市で、3人組が住宅の窓ガラスを割って侵入し、金品などを盗んで室内を荒らしたほか、住人の女性(50)を連れ去ったとされる事件が発生。女性はその後保護されたもののケガを負っていたと報じられている。
報道によると、この事件で逮捕された被疑者男性の指紋が、16日の強盗殺人事件(横浜市青葉区)の現場で見つかった指紋と一致したという。
住人に危害を加えることもためらわない強盗は凶悪犯罪というほかない。住人が押し入ってきた強盗犯に出くわしたら、身を守るためにとっさに武器を持って応戦することもありえそうだが、もし応戦して強盗犯を死亡させてしまった場合でも罪に問われるのだろうか。刑事事件にくわしい澤井康生弁護士に聞いた。
●強盗犯に対する「正当防衛」には特別規定がある
——自分の身を守るための行為で強盗犯を死亡させた場合でも犯罪になるのでしょうか。
強盗事件の場合は、「刑法上の正当防衛」と「盗犯等防止法上(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律)の正当防衛」が成立する可能性があります。
刑法上の正当防衛は、急迫不正の侵害に対して、必要性(不正の侵害を排除するのに必要であること)・相当性(社会通念上防衛行為としての妥当性が認められること)のある防衛行為を行った場合に成立します。
成立した場合、その防衛行為は違法ではない(適法となる)として、犯罪には当たらず、処罰もされません。
必要性や相当性が認められるためのハードルは高く、正当防衛が成立するのはレアケースといっていいほどです。
たとえば、相手が素手で殴りかかってきたのに対し、こちらが刃物で応戦した場合には相当性が欠けるので、原則として正当防衛は成立しません。
もっとも、相当性が欠ける、すなわちやり過ぎでしまったというような場合でも過剰防衛が成立し得ます。過剰防衛の場合、犯罪自体は成立しますが、刑は減刑または免除されることがあります。
——「盗犯等防止法上の正当防衛」はどう違うのでしょうか。
盗犯等防止法1条1項は、窃盗犯や強盗犯から自分の身を守るために防衛行為を行った場合、犯人を殺傷したとしても正当防衛が成立することを定めています。
さらに同条2項は、被害者に現在の危険が差し迫っていなくても恐怖や驚愕、狼狽で犯人を殺傷してしまった場合であっても罰しないと規定しています。
刑法上の正当防衛は防衛行為の相当性が厳格に求められるのに対して、盗犯等防止法の正当防衛は相当性の要件が緩和されていると考えられています(最高裁平成6年6月30日判決)。
窃盗犯や強盗犯に遭遇した状況において自分の身を守るために行き過ぎた反撃をしてしまった場合に、特別に正当防衛の成立を認めやすくした規定なのです。
とはいえ、誰が見ても「いくらなんでもそれはやり過ぎだよね」と思われる防衛行為を行って犯人を殺傷した場合には盗犯等防止法上の正当防衛は成立せず、過剰防衛の成立にとどまることになります。
来日直後の難民、行き場なく「野宿」に…変わらぬ実態と深刻化する現状
難民受け入れについて閉鎖的な状況が続く日本で、1999年の設立以来、迫害を逃れて来日した難民が失った権利の回復に取り組み、彼・彼女らが日本社会の一員として暮らせるよう活動を続けている難民支援協会(JAR)。
食糧や日用品の配布、医療へのアクセス、情報提供などの生活支援のほか、弁護士と連携した法的支援や就労支援など、2023年度は71カ国996人に9535件の支援をおこなっている。
また、年に4回前後開催される記者懇談会では、日本国内だけでなく、難民をめぐる世界の動向をデータとともに報告するなど、JARはメディア関係者への情報や、政策提言にも注力している。
新型コロナ「ばらまいてやる」は傷害罪の恐れも 感染者の出歩き、制限できるか?
愛知県蒲郡市は3月5日、新型コロナウイルスの感染が判明し、受け入れ先の医療機関が見つかるまで自宅待機の要請を受けていた50代の男性が、要請を無視して市内の飲食店を訪れていたことを明らかにした。
報道によれば、この男性は自宅を出る前に、「ウイルスをばらまいてやる」などと家族に話していたという。その後、男性はタクシーで移動。訪れた飲食店でも「新型コロナウイルスに感染している」などと話し、騒ぎになったという。
報じられたとおりならば、男性は意図的に飲食店を訪れたことになるが、法的責任はどうなるのだろうか。また、今回のように、自宅待機要請を無視する人に対する予防策はなかったのだろうか。澤井康生弁護士に聞いた。
サッポロ敗訴「極ZEROは第3のビールじゃない」 判決の閲覧制限に波紋も…
サッポロビールのビール系飲料「極ZERO」が、酒税の税率が低い「第3のビール」にあたるかが争われた訴訟で、東京地裁(古田孝夫裁判長)は2月6日、「第3のビールには該当しない」と判示した。
すでに納めた酒税約115億円の返還を求めたサッポロ側の請求を退け、国税当局の解釈が妥当だとした。判決言い渡し後、古田裁判長は「製造工程や各種データを検討し、該当しないと判断した」と述べた。
職場が寒くて仕事になりません! 足元には暖房、防寒対策で「エスキモー」状態に
35度を超える猛暑日が全国で相次いでいますが、みなさんの職場の空調は快適ですか。職場には、寒がりな人もいれば暑がりな人もいるので、調整が難しいですよね。
周りに配慮せず、設定温度を極度に高くしたり低くしたりする「エアハラ」(エアコン・ハラスメント)という言葉もあるんだそう。
弁護士ドットコムのLINE登録者約5800人に、職場の空調に関するトラブルを尋ねたところ、「寒いので防寒対策をしている」という声が多数寄せられました。
「がんになっても仕事やめないで」企業やNPO、就労支援の民間プロジェクト立ち上げ
2人に1人が「がん」になるとも言われる時代、がん治療をしながら働く人たちも増えている。がん治療をしながら働く「がんと就労」問題に取り組む、企業やNPOなどによる民間プロジェクト「がんアライ部」が発足した。10月6日、東京都内で開かれた記者会見で、代表発起人のライフネット生命保険の岩瀬大輔社長は「企業が主体となって動くことで、社会が変わるのではないか」と意気込みを語った。
国立がん研究センターの調査によれば、日本では年間86万人が新規罹患する。この内、20-64歳の就労可能年齢で罹患する患者は、全体の3割にのぼる。医療技術の進歩もあり、5年生存率は上がってきており、がんと就労は大きな課題だ。
代表発起人の「ARUN合同会社」代表の功能聡子さんは「死に至る病から、長く付き合う病気になってきた。『がんになっても仕事をやめないで』と医療者、会社が伝えなければいけない」として、患者、企業ともに知識を得ていくことの必要性を指摘した。
ウクライナ避難民の受け入れ拡充へ、有志団体が政府に提言 「平和を求める人たちの受け入れは、社会の向上に」
ロシア軍による侵攻で避難したウクライナ人の受け入れ拡充を求め、難民支援を行う有志らが3月3日、団体を立ち上げ、日本政府への提言を発表した。団体が集めるオンライン署名には既に4万1000を超える賛同の署名が集まっている(3月3日14時30分時点)。
有志団体の名称は「日本からウクライナを想う市民の会」。署名活動の発起人をつとめる渡部カンコロンゴ清花さんは3月3日、都内で開かれた会見で、「一人ひとりの命のために、安心していられる場所や方法を1つでも多く作り出すというムーブメントにしていきたい」と意義込みを語った。
署名活動は3月1日にスタート。賛同人には、楽天グループ会長の三木谷浩史さんやアーティストのコムアイさんなどが名を連ねている。
「アサヒカメラのカメラマン」名乗り、痴漢はたらく男性出没…編集部が注意呼びかけ
「アサヒカメラのカメラマン」を騙る男性が、路上で女性に撮影モデルにならないかと声をかけて、痴漢行為に及ぶ――。写真雑誌『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集部がツイッター上で、このような情報が寄せられているとして、注意と情報提供を呼びかけている。
【弁護士ドットコム】法的トラブルを解決する「ガイドコンテンツ」の編集業務をサポートするアルバイトを募集します!
弁護士ドットコムの法的なトラブルを解決に導くコンテンツ「ガイドコンテンツ」の編集業務をサポートするアルバイトを募集します。ご関心のある方は、こちらからぜひご応募ください。