この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
A(依頼者)とBは夫婦(子ども2人、二人とも結婚し子どももいる)で不動産業を営んでいたが、Bはスナックの常連客であったCと懇意になり、家を出てCと同棲生活を始めた。Cは夫も子どももいる身であった。Bは、一旦は夫婦関係調整の調停により、Cと別れることを約束したが、結局は、また、Cと同棲を始め、Aは離婚訴訟をするため、相談にきた。
解決への流れ
離婚訴訟の内容は、離婚と財産分与、慰謝料を求めるもので、慰謝料は2000万円を請求した。問題となったのは、不動産以外の財産分与と慰謝料額であった。不貞行為についてはBも認めている。Bは、資産がないことを理由に慰謝料を出そうにも出せないなどと言っていた。しかし、裁判中、Bが、Cと生活する新居を購入した事実を暴いた。これには裁判官も怒り、結局は判決になったが、認定された慰謝料額は1000万円であった。判決が認めた財産分与(不動産の名義変更)は実現できたが、1000万円の慰謝料請求は、なかなか支払はなされなかった。その後、民事調停をし、調停で支払条件を定めたが、その約束もBは守らなかった。Bの実家は資産家で、父は亡くなっており母だけでした。そして母がなくなり、相続の際にBの相続分をAに支払うことということになった。ただ、これはB抜きに検討したものであった。しかし、その方法しかなく、養母が亡くなったときに、親族間でBも交えて相談し、相続人全員による遺産分割調停の中で、Bの相続分のうち、Bにも多少渡したが、BからAに800万円を支払わせることができた。判決を受けてから実に11年が経っていた。
裁判で判決を勝ち取ることは難しいものです。しかし、勝ち取った判決内容を実現することはさらに難しいものです。払おうにも金がないと言われ、実際、資産がないと実行できません。今回の判決は慰謝料額としては異例の1000万円ではありましたが、実現は仲々できませんでした。しかし、様々な伝手をたどり、10年以上かけて何とか実現できました。