犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

いわゆる使途不明金問題(使い込み事案)の被告側について

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鈴木 祥平 弁護士が解決
所属事務所みずがき綜合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

依頼者のAさんは、60代の男性でした。依頼者の父親が亡くなり、兄弟5人が相続人となった事案です。Aさんは、長男であったので父親が亡くなった後に、他の兄弟の代わりに、父親の預貯金から相続税等の必要なお金をまとめて支払ったり、亡くなった父親が所有していた賃貸不動産の管理を約20年にも渡り継続してまりました。そのような中で、次男であるBさんが、長男であるAさんに対して、「父親の預貯金が5000万円くらいあったはずなのに、そのお金が消えている。自分の法定相続分である1000万円を支払え」という不当利得返還請求訴訟を提起してきました。実際には、5000万円の預貯金は、亡くなった父親の不動産の修繕積立金であったりとか、父親の介護老人ホームの入居費用などで使っていたため、残っておりませんでした。、Aさんは、いきなり訴訟を提起されたので、びっくりして当職の事務所に相談にお越しになられました。

解決への流れ

Aさんは、当初、自分で訴訟手続きを進めるつもりで第1回期日に出席しましたが、第1回期日で、原告代理人の弁護士や裁判官から色々な質問を受け、どのように対応をすればいいかわからなかったため、弁護士に依頼することにしたとのことでした。当職としては、訴訟の方針として、父親の預貯金から支出したお金(通帳の出金履歴)が父親の不動産の修繕費用や父親の介護老人ホ―ムの入居費用など必要なお金として使ったことを丹念に裁判所に向けて説明(主張・立証)するという事を伝えました。裁判所に対して提出する「準備書面」においては、Aさんが提出してくれた証拠を詳細に検討して、支出した費目ごとに「エクセルの表」にまとめて準備書面に添付するなど、裁判所に分かりやすい書面を作成することに尽力を致しました。Aさんがかなりマメな人であったので、いろいろな資料が残っていたことがとても主張・立証において役に立ちました。審理の途中では、裁判官から、原告側はAさんが不当利得をしたということを必ずしも立証できていないものの、ゼロでは解決しないことから和解をしたらどうかという提案もありましたが、Aさんとしては、お金をネコババするようなことはしていないということを明らかにしたいという気持ちが強かったことから、和解提案を断り、最終的には、当事者尋問まで行い、判決をもらうことになりました。その結果、裁判所からは、原告の請求を棄却する旨の判決を頂くことができ、Aさんが完全勝訴すると言う形で訴訟を終えることができました。

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鈴木 祥平 弁護士からのコメント

本件のようないわゆる使途不明金の問題では、不当利得返還請求を求める側が立証責任を負うので、被告側としては、相手方の立証を妨げるだけで本来はよいのですが、今回の事案については、Aさんがマメな方であったため大量の証拠で父親のためにお金を使っていることを立証することに成功した事案です。このような事案では、グレーな状況になってしまって、ある程度のお金を支払った和解の解決を図ることが多いのですが、父親のために使ったことが明確な事案であったため、和解提案を拒否して請求棄却の判決を頂くことができました。