この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
運送業を営む企業様が依頼者様でした。依頼者様は、取引先である相手方企業に対する債権を有しておられましたが、相手方企業は資金繰りが苦しいようで、順調な支払を受けることができませんでした。そこで、依頼者様は、相手方企業が別の企業(A企業)に対して有する債権について債権譲渡を受け、依頼者様が相手方企業に対して有する上記債権と相手方企業が依頼者様に対して取得した債権譲渡に関する売買代金債権とを対当額で相殺することにいたしました。ところが、その後、相手方企業(A企業)に対して債権を有すると主張する別の企業(B企業)が、依頼者様に対し、上記債権譲渡が詐害行為であるとして、詐害行為取消請求訴訟を提起いたしました。
解決への流れ
当職において、上記詐害行為取消請求訴訟の委任を受けました。依頼者様から詳細な事情をお伺いしたところ、そもそもB企業がA企業に対して債権を有しているか疑わしいことが判明いたしました。また、上記のとおり、依頼者様は、依頼者様が相手方企業に対して有する債権と相手方企業が依頼者様に対して取得した債権譲渡に関する売買代金債権とを対当額で相殺しているので、債権譲渡について詐害性があるのか問題になりました。証人尋問と当事者尋問を含む15回の裁判期日を重ね、最終段階で裁判官から和解勧告がなされ、依頼者様が納得いただける内容での和解が成立いたしました。
詐害行為取消請求訴訟の争点は、被保全債権の存否と詐害行為の存否の2点でした。実態としては、被保全債権は存在せず、詐害行為もなかったということができる状況であると思われました。もっとも、依頼者様においては、詐害行為取消請求訴訟を起こされるような事態になることを想定しておられなかったため、上記争点について立証するための資料がほとんどないという状況でした。しかし、そのような状況の中で、何とか使える資料をかき集めて立証を行い、証人尋問と当事者尋問で立証を補充いたしました。その成果として、最終的に、依頼者様が納得いただける内容での和解が成立いたしました。依頼者様からは、「何も資料がなくて、大変ご迷惑をおかけしました。裁判は負けてしまうだろうと思っていましたが、納得できる内容での和解までこぎ着けていただきまして、ありがとうございました。」との感謝のお言葉をいただきました。