犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割 . #相続登記・名義変更 . #財産目録・調査

相続人16名の遺産分割(相続登記/所有権移転登記・遺産の売却・賃借人への対応ほか)

Lawyer Image
亀山 聡 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人ACLOGOS
所在地沖縄県 那覇市

この事例の依頼主

30代 女性

相談前の状況

相談者は、亡くなられた方の姪でした。那覇市牧志の複数の不動産・預貯金があるものの、相続人が県内・県外多数おり、連絡がつきにくい人もいるため困っているとのことでした。

解決への流れ

相談者のお話を伺うと、相続人が多数に及ぶので不動産を売却して金銭で分割したいという希望でした。相続人の人数から、かなりの時間を要することが想定され、他方、遺産の不動産の中にはテナントが入っている建物も含まれていました。この建物には管理会社がついていなかったこともあり、遺産分割が終わるまでの間、管理を委託していただくことで、遺産の散逸を防ぎつつ分割を進めることを助言しました。

Lawyer Image
亀山 聡 弁護士からのコメント

受任後まず行ったのは、相続人から管理を任してもらう同意書の作成です。各相続人とのやり取りについては、代表的な方4名ほどを中心に行っていただき、連絡が付きにくい相続人については、アクロゴスから直接連絡をしました。こうして、全相続人から同意のもと不動産の管理を行いつつ、売却先となる不動産業者を探しました。途中、依頼者の関係者にて購入するという話が出ることもありましたが、最終的には、弊所にてお付き合いのある不動産業者に売却する方向でまとまりました。しかしながら、本件では2つ大きな問題がありました。それは、①土地の越境の問題②建物に居住している賃借人の存在です。①は、売買に先立って測量を行ったところ、隣地所有者から越境を指摘され、対応が必要となったものです。実際の現地は、確かに、隣地所有者しか使えない通路になっており、その様な状態になってから数十年は経っている様子であり、法的には取得時効が成立する可能性が高い状況にありました。しかも、面積も1~2坪と僅少なものであったことから、争うよりも認めたうえで売却を優先した方が得策と考えました。そこで、隣地所有者への譲渡契約書、隣地所有者にも相続が発生していたためその遺産分割協議書などをアクロゴスにて用意して手続きを進めました。次に、賃借人については、弁護士が介入する以前から定期借家契約を締結しておりましたが、その期間は既に過ぎていたものの、退去を求めずそのまま住み続けていたというものです。なお、定期借家契約は、普通の賃貸借とは違って、更新がないため、契約期間が切れれば本来退去しなければなりません。法的には退去しなければならないとしても、これまで何も言われることなく住み続けていた方でしたので、あまり強硬な態度では反発を招きます。実際の裁判例でも定期借家期間満了後に放置していたケースで、黙示的に普通借家契約が成立したと判断された事例もあります。そこで、売却にはある程度時間の余裕があったことから、借地借家法に基づく終了通知は送りつつも、賃借人に対しては明渡猶予期間を認めるとともに、買主に対してもその点の説明を行い、円滑に明渡を完了させることが出来ました。本件では、相続登記・所有権移転登記についても、アクロゴスにて行いました。よく、「登記は司法書士」と考えていらっしゃる方もおりますが、相続登記・所有権移転登記等については、弁護士でも全く問題なく行えます。むしろ、本件のように遺産相続の局面では、土地の越境や賃借人の処遇など、法的な問題点が潜んでいるケースが非常に多くあります。本件でも、隣地所有者、賃借人いずれに対しても、条文そのままに強硬な態度を示した場合には、紛争化して多大な費用・時間・労力の負担を強いられた可能性が高いと考えています。この様に、相続、特に、多数の遺産があったり、意見の食い違いがあったり、相続人が多数に及ぶ場合には、法解釈を専門とする弁護士が介入することは非常に重要だと考えます。