犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

兄が着服していた亡父の預金を取り戻した事例

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新保 英毅 弁護士が解決
所属事務所新保法律事務所
所在地京都府 京都市中京区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

父が死亡し、相続人は長男と二男。二男からの相談です。父は長男と同居し、亡くなる数年間は認知症で財産の管理ができる状況ではなく、兄が管理していました。父の相続後、兄にの父の通帳の開示を求めましたが、兄は「預金は何も残っていない」と言うだけで、協力を拒絶しました。父は長年大企業で勤務し、退職後はつつましく生活していたことからすると、それなりに預金を残しているはずです。お金が何も残っていないというのは納得できず、弁護士に依頼しました。

解決への流れ

被相続人(亡父)の預金取引履歴を取り寄せたところ、亡くなる前の1年間に預金のほとんどが出金されていました。認知症になっているお父様自身がお金を引き出したとは考えられず、同居していた長男(相談者の兄)が引き出したと推測されました。そこで、相手方(兄)に対し、引き出したお金の内、相談者の相続分に相当する金額の返金を求める交渉をし、相手方(兄)がこれに応じないので、不当利得返還請求の民事訴訟を提起しました。相手方(兄)は、民事訴訟において、当初は、被相続人(父)から指示されて預金を引出し、被相続人(父)のために支出したと主張していました。しかし、被相続人(父)の医療記録等から被相続人本人が認知症で、相手方が主張するようなお金の支出を自分の意思でできる状況ではなかったことが判明しました。その結果、相手方(兄)が、相談者に対し、請求額の大部分を返還することで和解しました。

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新保 英毅 弁護士からのコメント

被相続人の預金について、その生前に無断で、第三者(他の相続人を含む)が引き出して着服した場合、相続人は、引き出した者に対し、相続分に応じて不当利得返還請求をすることになります。前提として預金取引履歴等で出金の事実、出金者を明らかにした上で、被相続人の生活状況や医療記録、また、資金使途から被相続人の意思に基づかないものと立証していくことになります。このケースでは、被相続人の認知症が医療記録から明らかであったことから、速やかな解決となりました。